木製小箱に収められる。15-3は連印。側款にいう「絹州」とは阿部縑洲(一七九三―一八六二)のこと。『七香斎文叢』(LH2*甲*21)に収める「祭縑洲先生文」によれば、文久元年(一八六一)、二十歳の南岳が晩年の縑洲を訪ねた際「手雕之印六七石材銅材」を示されたという。おそらくこの時に送られた印章なのであろう。<br/>阿部は名は温、通称は良平、四国讃岐の人。東畡友人で南岳の庇護者。詩文書画のほか篆刻に巧みであった。郷純造編『法眼居印賞』巻二(一八九八年)南岳序文冒頭に15-4を、序文末尾に15-1と15-2を捺印し、小山雲泉『千字問百顆印譜』(一八八六年)の南岳序文に15-3を捺印する。
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