関西大学図書館には、約350件を越える大坂画壇の絵画が所蔵されております。

 

「大坂画壇」という言葉は、昭和17年(1942)に大阪市立美術館で開催された「西山芳園幷完瑛展」に際して登場しました。その時には「阪」の字を用いて、「大阪画壇」と名づけられました。続いて昭和56年(1981)に「近世の大坂画壇」展が同美術館で開催されたときには「坂」の字を用いて「大坂画壇」という呼称となりました。これらの言葉を引き継いで、近年では江戸時代の大坂の絵画を指す場合には「大坂画壇」、近代の大阪の絵画を指す場合には「大阪画壇」を用いるのが慣例となりつつあり、両者を指して「大坂(阪)画壇」と表記することもあります。

 

関西大学総合図書館所蔵の大坂(阪)画壇の絵画は、木村蒹葭堂(1736-1802)を中心として、その周辺の大坂の画家たち、たとえば大岡春卜(1680-1763)や中井藍江(1766-1830)らの作品を収集しており、江戸時代中後期における大坂の美術界の状況を俯瞰できる資料となっています。

 

ここにKU-ORCASが数多くの大坂(阪)画壇の画家たちのアーカイブを公開することで、近世近代の日本美術史の研究が幅広く行われ、ひいては江戸時代から明治・大正時代に至る日本の芸術・思想・歴史の文化についての理解が深まることを願っております。